皆さんこんにちは。
ソラマドの造士です。
大変遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
今年も引き続きよろしくお願いいたします。
この1月末の RUST DAYS にやっと年明け1発目のブログを書く気になりました。
錆びついたアタマにKURE5−56をシュッと。
こういうのはダイエットと同じようなもので、一旦気持ちが切れるとリスタートに時間が掛かるのです。
出来ない理由はいくらでも思い付くんだけど、最大の要因は「書きたい」とあまり感じていなかったからかな、、。
今回は、そんな「書きたい」の切れた気持ちを繋ぎ直してくれた映画のご紹介です。
映画「PERFECT DAYS」について。
この映画についてご存知の方も多くいらっしゃるかと思います。
主演は役所広司さんで、監督はドイツ人のヴィム・ヴェンダース。
私はこの作品の監督であるヴィム・ヴェンダースが撮った映画が昔からすごく好きでした。
特に好きな作品は「パリ、テキサス」「リスボン物語」「ベルリン・天使の詩(うた)」そして「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」です。
それぞれの作品については詳しく触れませんが、彼の作品に共通している世界観は「穏やかで美しい」、、、かな。
映画って基本的にエンタメなので、映像だったりストーリーだったり音だったり、、、いろいろ盛って盛って盛りまくりなハリウッド感満載の映像がどうしてもメジャーな位置にあると思いますし、それはそれで面白いのですが、映像に味付け強めでストーリーにスパイス効かせすぎで音量熱が熱すぎの「辛味噌スパイシー激アツカレー」ばかり食べてたら、舌がバカになりそうな気もするのです。
そういった意味においてヴェンダース作品は、薄味なんだけど出汁の旨味を舌の両端でジンワリ感じながら素材感も愉しむ日本人好みの「和食」(最近は海外の方も好きですが、、)のような映画なんだと思います。
なので、2時間ちょいの、ある意味とても淡々とした映画なんですが全く飽きないのです。
だって、素材の旨味と出汁がジンワリな味付けなんだもん。
たまには濃ゆい味付けも食べたくはなると思いますが、料理って「とにかく味を付ければ美味しくなる」ってものでも無いですよね。
「味が無い」のは論外ですが、素材(人間)に味付け(演出)し過ぎたら、かえって不味く(嘘っぽく)なるのでしょう。
この映画「PERFECT DAYS」を観て、主人公(平山)の日々の暮らしぶりを思い出し「何がPERFECTなのか?」を考えてしまうのですが、このブログを書きながらなんとなく「こういうことなのかな?」という自分なりの解釈が浮かんできました。
味付け濃い目のこの情報過多社会で生きていくと、どうしても自分の人生にもスパイス効かせたくなってしまったり、しちゃいますよね。
言葉にはせずとも、SNSなどで無意識のうちに人と比べてしまったり、、。
ちなみに「完璧」って「何も足すものも無く、何も引くものも無い」状態ですよね。
そんな状態だからこそ「気づける・感じれる」ささやかな人間の優しさや儚さや幸せの瞬間は、足し算・掛け算・盛り沢山な味付けたっぷり濃い目情報過多社会では一瞬にしてウッカリ見失ってしまいそうですよね。
そんな日々だからこそ、ヴェンダースのとにかく美しい引き算の映像とストーリーと音の2時間が、とても心地よく感じれたのかもしれません。
我々の建築業界でも、さまざまな情報過多で足し算・掛け算だらけなので、これからは『いかに引くか?』がより感性的には重要な価値観なのかもしれないな、、、と勝手に思ったりしたりして。
人生に出汁を、設計に引き算を。
なんつって。